期限切れフィルムを入れて、写真撮ってくるぜーなどと息巻いておりましたが、少々困った事態が起こりました。
人生なにかとトラブルはつきもの。しかし、まさか撮る前からトラブルに見舞われるとは……。
ご機嫌にBessaflexのお手入れを終えたあとのことでした。
ブロワーで埃を吹き飛ばし、レンズを装着。うん、カッコいい。
そして、まずは空シャッターを切る……あれ、切れない。
……切れない。
どうにもシャッターが切れた気配がありません。なんだか途中で止まってる感じ。
おそるおそるレンズを外してみると、シャッターは切れました。
シャッターの切れない原因をつきとめる
レンズを外した状態ならばシャッターは切れる。そしてレンズを装着するとシャッターは切れない。
ということは、レンズの後玉が当たってるんだろうかと、のぞき込んでみました。
……いや、違う。
当たっているのはレンズではなかったというよりも、そもそもそんな次元ではなかったのです。

どう見ても、ミラーの位置があきらかにおかしいです。
ここまでおかしいと、さすがの私もわかります。
むしろなぜお手入れ中に気付けなかったのか。
こんなにミラーがマウント部に出っ張っていたら、シャッターが切れるはずがありません。
むしろ切れたら危険ですね。ミラー割れてしまいます。
おそらく、ミラーを接着してあるテープが経年劣化で接着力が弱まってしまい、だんだんと重力でずり落ちてしまったのではないかと思われます。
ミラー動作時の遠心力でもずれるとは思いますが、ちょっと今回は違うかな、と。
何しろ10年もの間、放置してきたシロモノ。重力には逆らえない。
修理に出すべきか、どうするか
修理に出そうかなともちろん考えましたが、正直なところ直したところでそれほど使うわけでもないでしょう。
お金がかかるといってフィルムからデジタルに移行した私が、直したからといってまたフィルムカメラをガンガンに使うはずがないのです。
……使わないのもまた、もったいないと思いますけどね。
ともあれ気になるのはお値段。かつてはさんざん散財してきたこともありましたが、今は主婦である以上、財布のひもは固く締めねばならぬのです。おかねってだいじ。
色々ネットの海をさまよい調べてみましたが、どこを見ても最低1万円から。
確実にそれ以上はかかりそうです。
だったらその分のお金で、新しいカメラを買ったほうがしあわせになれる気がします。
……財布のひもはどこへいった。
自分でがんばって直してみる
修理には出せないとなると、あとはあきらめるか自分で直すかの二択です。
いつのも私であれば、簡単にあきらめることでしょう。
だってどうせそんなに使わないだろうしって……。
でも今回はちがいます。私には父の遺品であるフィルムを使うという目的があるのです。
ならば、自分で修理するしかないでしょう!
父よ、どこかからか見ているがいい。あなたの娘の勇姿を。
というわけで、ミラーずれを起こしてしまった際の修理方法を調べてみました。
- ミラーを剥がしてきれいにしたあと接着する
- ドライヤーで温めて接着剤を溶かし、ミラーを本来の位置に押し戻す
不器用なことにかけては定評ある私のこと、ミラーを剥がすなんてとんでもない。
間違いなく失敗します。
どうせミラーを割ったり、運良く割らなかったとしても、ミラーの裏表が分からなくなったりして、慌てふためくに決まっています。
いくらなんでも、完全にダメにしてしまう気はありません。
なので、ドライヤーで温めてからミラーを押し戻すという方法を取りました。
不器用とはいえ、エンジニアであった父の血をひく私です。やってやれないことはありません。
がんばって直した結果

あまり温めすぎてもよくないだろうなと思ったので、少し温めては確認を繰り返し、ちょっと動くようになったところで、えいっとミラーを押し込みました。
一応、割れないようにビクビク気を使いましたよ。
すると、なんということでしょう。
あんなにずれていたミラーが、見事にミラー受けにおさまっているではありませんか!
もう出っ張っているとは言わせません。
父よ、見ていましたか。あなたの娘はやりましたよ!
レンズを着けた状態でも、シャッターが切れるようになりました。
私もやればできるんです。
本当はミラーとミラー受けの隙間に、接着剤を少し流してやりたかったのですが、これでちゃんと撮れるかどうか心配だったので、とりあえずこのままで。
修理というよりもあくまで応急処置なので、どの程度持つかはわかりませんが、フィルム1本撮るくらいは持ってくれるといいなと希望を込めて、今度こそ撮影に出発です。